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ミュージアムのamuのレビュー・感想・評価

ミュージアム(2016年製作の映画)
4.5
「セブン」を人生ベストムービー1位に掲げる自分としては、漫画も映画もあくまで本家への多大なるオマージュだと思いたい。

映像にもキャスティングにも力を入れているのは伝わってくるものの、二番煎じの日本版セブン感が否めず、主演刑事が家庭をかえりみないという一番のポイントが同じなことは、もはや失笑ものである。

押さえられたポイントはそれにとどまらず、挙げたらキリがないというより、全部…!!!(笑)常に雨なところから犯人がケヴィン・スペイシーさながらの坊主頭なところまで!と、ここまでくるとこっちも開き直り、自分の中でのオマージュ心を残しつつ、一旦「セブン」のことは置いておいた。

置いておいた上で観ると、小栗旬の演技がダサいこと以外はなかなか上手いこと作ってあるという感想。ブッキーは本当にいい役者になったなぁ…!と見惚れるほどの狂い具合でした。途中ちょっとだけバイきんぐ小峠に見えちゃったけど、気にしない。

刑事ものの捜査本部でありがちな全く犯人の手がかりが掴めない烏合の衆感漂う場面などで、「わかりました!」と唯一きっちり外回りから情報を集めてくる小栗旬の後輩・野村周平くんが、犯人の作品づくりとは無関係に容赦なくあっさり殺られちゃうのは、ん?(笑)と思ったのと、彼だけが優秀な刑事だったので残念でした。

猟奇殺人によりグロテスクなシーンが多いのだが、「セブン」がベストムービーだからといって、私は残虐な映像が好きな訳では全く無い。むしろ苦手である。ただ「セブン」は作品として美しいのだ。引き込まれる展開の面白さと映像美。雨の午後、音は消して映像だけ流しながら猿田彦珈琲片手に窓から薄目で外を眺めるだけでお洒落野郎を気取れるようなセンスある作品だ。(?)

残念ながらそれを今作でやっても少しもお洒落でなく、結構気持ち悪いよ(笑)というのが、差の歴然たるものではなかろうか。
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