矢吹健を称える会

バッド・ラップの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

バッド・ラップ(2016年製作の映画)
2.8
 4人のアジア系ラッパーに密着しているドキュメンタリー。まあDumbfoundeadが主役級といっていい扱いなのだが、印象に残ったのは(『オーシャンズ8』に出演していた)Awkwafinaと、布教もしたいがラップもしたい洗濯屋のせがれLyricksの二人だった。特にAwkwafinaが自分の置かれた状況に対する危機感を口にするシーンは痛ましい。彼女の聡明さはよく伝わってくる。

 4者のありようを映すパートのあと、レコード会社のA&Rにそれぞれの音源を聞かせるくだりがあって、ここが一番面白い。やっぱり音源としてはAwkwafinaが頭一つ抜けてポップなのだが、同じポップでもJin(懐かしい名前……)の"Learn Chinese"と何が違うのか、なぜ後者はJinのキャリアを挫かせたのかというのが透けて見えるようになっている。

 Dumbfoundeadが復帰戦としてConceitedというラッパーに挑むMCバトルは――これすごく有名なバトルらしい――ビートがないので本当に単なる罵り合いだな。個人的な好みとしては、やはりビートに多少なりとも乗せてほしいのだが。

 女性の尻にマスタードをぶっかけるMVの件、どうもラッパーは本気らしいのだが『俺たちポップスター!』のような気まずさがある。