アニマル泉

餌食のアニマル泉のレビュー・感想・評価

餌食(1979年製作の映画)
4.0
若松孝二が内田裕也の主役で撮った東映作品。カラーシネスコ。脚本は荒井晴彦。日本に戻ってきた内田は、古巣の外タレを誘致する音楽事務所の裏稼業が麻薬と売春だと知り、事務所の金を強奪する。居候先の多々良純は戦争で腕を失くしたが今でも軍用銃を毎日磨いている。多々良が交通事故で呆気なく死んで、遺体マークの人型の印を人々が無関心に踏みつけていくのを内田は凝視する、そして多々良の拳銃で屋上から通行人を無差別乱射する。
「無差別テロ」は若松の十八番のテーマだ。本作は内田の中年世代と多々良の戦争世代の2つの世代から日本国家を浮き彫りにしている。内田裕也はいわばドン・キホーテの役回りだが、本作は内田のカリスマや狂気に寄りすぎて失敗していると思う。革命と暴力を問う若松にとって大衆とは何だったのか?聞いてみたかった。
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