ブラックユーモアホフマン

イップ・マン 継承のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

イップ・マン 継承(2015年製作の映画)
3.7
話は前作よりもさらにとっ散らかり、必要ないエピソードだらけで一本の映画としてのまとまりがない。
作品の内容としてはロッキー化した前作から本作はヤクザもののような感じに。『ジョン・ウィック』とか『アウトロー』とか『イコライザー』のような。司法の手の届かない相手に、警察が何もできないならと自らの手で戦っていくヒーローの話。イップ・マンというヒーローの資質は1作ごとに微妙に違っている。キャプテン・アメリカがロッキーになってロバート・マッコールになる。とは言え、その話も中盤で終わるんですよね。やっぱりまとまりがない。そういう話なら最後までそういう話で通すべきなのに。
やはり1作目の戦争という壁以上に大きな壁を感じられず、2作目同様、あってもなくてもいい続編になってしまっている。
でも奥さんとの描写は、エモい。木人椿の音が2人の思い出、というのもすごく良いエピソードだと思った。
『ロッキー・ザ・ファイナル』で描かれることのなかったロッキーとエイドリアンとの最後が、この作品では描かれているような。
それならば、もし続編を作るのであればやはり晩年のイップ・マンを。自分の死に向き合うイップ・マンの姿を上手く描ければ1作目にも匹敵する名作になる気が。その時こそ副題は「継承」なのではないかとも思うのだけど。
冒頭に登場したブルース・リーの描写がまあ予想を何も上回らないステレオタイプな感じでガッカリ。ファンサービスとは言えありゃダメでしょ。