MasaichiYaguchi

裸足の季節のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.1
自然光溢れる中、美しい5人姉妹の日々が瑞々しいタッチで描かれていく。
冒頭の姉妹らの若さ弾けるシーンから一転して、彼女らは因習や封建的な考え方に搦め取られて自由を失っていく。
本作は北トルコの村を舞台にしているが、お国柄なのか、この地方特有のものなのかしれないが、日本の封建制度における女性たちを彷彿させるような状況で、世界的に女性の立場向上が叫ばれている時流に逆行していると思う。
この「籠の鳥」状態になってしまった姉妹たちは、彼女らなりに抵抗し、自由を掴もうとしていく。
それでも、10年前に両親を亡くして祖母の家に身を寄せている10代の彼女らに出来ることには限りがあり、夫々葛藤したり、苦悩したり、諦念から自暴自棄になってしまったりする。
作品の内容やテーマは重くシリアスだが、この5人姉妹の透明感溢れる美しさや、10代の女の子らしい無邪気さやキュートさが一服の清涼剤になっていて作品の持つ暗さを救っている。
そしてファッション。
因習によって“拘束衣”のような服装をさせられたりもするが、普段の姉妹たちは夫々の個性が出た明るい色の垢抜けたファッションを身に着け、優しく柔らかい光の中で躍動する。
そんな彼女らが、古い習慣と封建的な考えの悪しき存在の象徴である叔父と祖母に“囚人”のように扱われている中、末っ子ラーレは自由を求めて行動を起こしていく。
雁字搦めの状況を打破し、風穴を開けるのは、若さや夢を諦めない心と勇気、そして行動力だと思う。
オープニングと見事な対になっているラストが、希望の光を心に灯します。