千年女優

裸足の季節の千年女優のレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
3.5
両親を亡くしてトルコの田舎にある祖母宅に暮らす五人姉妹の末っ子で、姉妹揃って学校帰りにビーチで男の子たちと遊んでいるところを厳格な祖母に咎められた13歳のラーレ。以来年長者から順番にお見合い結婚を強制されて思い悩む姉達の姿を目の当たりにした彼女が、遠くイスタンブールにまだ見ぬ自由を求める様を描く青春ドラマです。

トルコ生まれの女性監督でフランス移住後に国立高等映像音響芸術学校で映像を学んだデニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの長編映画監督デビュー作となる2015年公開作品で、その年のカンヌ国際映画祭で上映されると少女達の演技を中心に批評家からの称賛を集め、オスカーやゴールデングローブ賞の外国映画賞へのノミネートを果たしました。

ジェンダー平等の時代にあって宗教や社会的な背景から未だある弱い立場の女性を少女の視点から描いた物語で、真綿で首を締めるような抑圧が心にもまとわりつきます。終盤はインパクトのために過度にドラマティックな展開となる過剰さはありますが、瑞々しい演技を見せる子役たちの「ココデハナイドコカ」への希望が胸を打つ一作です。
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