アズマロルヴァケル

イノセント15のアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

イノセント15(2015年製作の映画)
3.8
純潔な映画

中学生の銀は学校をサボっては友達とつるんだり野球のためにバットを素振りする日々を過ごしていた。そんな折同級生と成美から好きだと告白を受ける。銀は
好きじゃなかったので断ってしまったが、成美は諦めてない様子だった。

成美は母子家庭で、前にバレエをやっていたものの、母親の意向でバレエを辞めさせられ更には成美の高校進学もまともに引き受けず、挙げ句には母親や母親の恋人から虐待を受ける始末だった。
一方、銀もまたある事実を知った。知人の熊川さんのお通夜で街にやってきた高校の同級生菊地と銀の父親が愛しあっていたことだった。菊地とは母親を亡くしてから親しかったこともあり、銀はショックを受けるのだった。そして銀はある夜に銀と打ち解けようと試みた菊地をバットで殴り付けるのだった。

翌日、成美は実の父親の家に住もうと母親のへそくりを盗んで東京に行こうと銀に別れを告げるのだったが、あれ以来父親と複雑な状態になった銀は成美と行動を共にするのだった。


本編88分かつストーリーが若干テンポがスローではあったものの、何処か隠しカメラのようなカメラワークやテラスハウスさながらのドキュメンタリータッチでリアリティのある編集、それでいて根本的な闇を抱えつつも希望に満ちた内容にはこれぞグッと来ました。

映画的に淡々と見せては登場人物の心情を捉えていて、それでいて顔のアップや
台詞を極力抑えたシンプルな構成というのもなかなかのもので、この映画を一言で言うと純潔な映画と称した方がいい。

内容は浅尾いにおの「おやすみプンプン」の嫌なところを抜いたようなそんな鮮やかな映画。でも時々だがSF映画の「ロスト・エモーション」や「アイランド」のようなディストピアから抜け出すような感じもある。時々成美の家族が暴力等を振るうシーンや銀が菊地を金属バットで殴り付けるシーンもありますが、残酷さはなく、マイルドな方ではありました。

まあコミカルだったのは冒頭とラストに登場する電動カートおばさんが謎。ほぼ電動カートも格好もピンクだし、無表情で電動カートを動かすから掴みどころがなくて見てて不思議な気分になった。現実で言うところの騒音おばさんや鳩の餌やり男のような迷惑さは無かったけど、ラストで主人公二人をお前が邪魔すんじゃねぇよ!!ってムスっと来た。

それで、電動カートおばさんに邪魔されてどうなるかと思いきや結構清清しいラストだったので、スッキリした気持ちになった。レンタルでも在庫が少ないのでしょうがないところがあるが、漫画の実写化映画よりももっと見られるべき映画だと言える。

調べたら小川紗良さんがテレビドラマよりも映画の方が仕事が多い感じだったので、どちらかと言えば「相棒」でゲスト出演とかほしいと思うし、可愛いのでもっと知名度が知れてほしいと思った。