ブタブタ

ミュートのブタブタのレビュー・感想・評価

ミュート(2018年製作の映画)
3.5
ウィリアム・ギブスンが『ブレードランナー2049』より素晴らしいと言ったらしいですが、だろうな、と。
『ニューロマンサー』の映画化が無理(だと思う)なのと同じで、SFでありながら侵略者やアンドロイドと戦ったりとかそういうイベントとは全く無縁な、何方かと言えばPKディックよりウィリアム・ギブスンやJGバラードの小説の様な主人公レオの極めてパーソナルな世界を描く内宇宙SFだと思うし、上記二人の作家の作品と同じく余り映像化に向いてないテーマを扱ってる作品だと思う。

おそらくは『ブレードランナー』と地続きの世界。
こちらは未来のヨーロッパ、ベルリン。
青い髪と口紅白い肌のナディーラは明らかにエンキ・ビラルが描く女性をイメージしてるし、ヴィジュアルはブレードランナーよりもビラルの『ニコポル三部作』などのBD(コミック)の世界に近いと思った。

ストーリーは喋れない男レオが失踪した恋人を探すシンプルかつ何の意外性もない話し。

ジョーンズ監督の父への思い含めて極めて私小説的な作品だと思った。
ただ『ミッション8:ミニッツ』を体験した身にとっては退屈で面白味に欠けた。

おそらくドイツはアメリカの支配(統合)下にあり脱走兵の通報を呼び掛ける放送、他のレビュアー様の感想にあったのですがあの世界は異星人と戦争していたりとか、そういう背景をあれこれ想像する方がたのしかった。

『月に囚われた男』のサムの“ルナ産業元社員クローン裁判”の映像がテレビに流れている。
あのシーンが一番楽しかった。
ブタブタ

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