ダイセロス森本

ミュートのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

ミュート(2018年製作の映画)
5.0
良作。世界観・ネオン街・近未来・青い髪・飛ぶ車・声を発さない主人公。好きが詰まりすぎているこの作品、見る前から大分ハードルを高くしていたのでちょっと緊張したけど、「え?ハードルって何ですか?」と軽々と飛び越え、感動させてくれたのでやっぱりすごい。


ブレランの世界観と言ってしまえばその通りだけど、だからこその「元祖」感が生まれ、
その舞台をいかに活かしていくかという工夫の仕方は素晴らしい。


登場人物がすべて良い。絶対交わりそうになかったあの2人と主人公がこういう形で出会うのか!!なんていう驚き。ガールフレンドがほぼ何も訴えることができないまま消えてしまったのもとても良い。どうやって彼女の居場所を突き止めるか、どうやって関係者を洗っていくかなんてところもとても見ごたえのある演出だった。空飛ぶ車を地面で走る車でおいかけるシーンは楽しすぎる。

色遣いもとてもよく、主人公が良い人すぎる。知的な生き物ほど音を立てない、というが、とてもその言葉に当てはまる人物。苦悩もよくわかるし、声を発せなくなった理由なんかもとてもわかる。全部納得できるのが不思議。

最後の方の近未来ガソリンスタンドはぜひ一度行ってみたいと思うような形。ちょっとテーマパークっぽくなっている。とても面白そう。24フードも近未来。

主人公は筆談派なので手掛かりがたくさん込められたノートにも注目できて楽しい。
戦うということに全く関係のなさそうな心優しい大男が悪者と一生懸命戦うところが泣ける。

展開がゆっくりでいろいろな角度から無駄なシーンをたくさん入れているけれど、これがあるから世界観にじっくりと浸っていられるし、展開が遅くてキャラクターの生き方がよくわかるから自分もそこにいるような感覚になる。126分もあったなんて思えない程あっという間だった。

いやあ、なんか本当に、一生Netflixお世話になりそう。オリジナルがとんでもなく良い。

ただひとつ。これをいつでも見られるように円盤化を望む!!。