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星空のマリオネットのJeffreyのレビュー・感想・評価

星空のマリオネット(1978年製作の映画)
2.0
「星空のマリオネット」

冒頭、東京近郊の町で暴走族のリーダーをしている男。廃抗、鉄工所勤務、殴る、入水自殺、三人の生活、入水自殺、狂気、喧嘩と暴力と対決。今、若い血が暴れだす…本作は喜多唯志の同名小説をATGで、橋浦方人が昭和五十三年監督し、脚本は彼とピンク映画を撮っていた大和屋竺が担当している。本作は近年、アマプラにて購入と言う形で配信で鑑賞できる。私は持っているVHSを久々に見返したが、橋浦による暴走族から脱皮した若者が理由もなく自死していく姿を描いた風変わりな作品で、洋画で言う「サイコマニア」的な雰囲気がある。趣旨は違くとも…。

さて、物語は時として狂気に近い爆発を見せる地方都市の暴走族のリーダーヒデオは、その狂気の末の果たし合いに敗れ、病院に担ぎ込まれる。仲間からも愛想つかしされた彼を慕う少年ヒロシは、病院長の息子だったが、自分の出生の秘密に悩み、シンナーと薬の虜になっていた。友情にも似た親しみを感じ抱き始めた二人の前にアケミと言う女が現れたとき、それぞれの人生は、なお一層大きく傾きをます。まず自殺願望に取り憑かれたヒロシが、二人の目の前で入水自殺を遂げた。それはヒデオの心の傷口を、大きく広げてゆく。



いゃ〜、独特のフラストレーションを爆発させた異色映画である。この作品は理由なき自殺に秘められた理由を描き出そうと言う意図が混沌とした構図の中に入り込み、影の薄い(女性的なビジュアル)のヒロシとの友情に不思議な安らぎを覚えていく主人公のビデオとそこに現れる少女との三人の奇妙な三角関係が徐々に物語の展開をおかしくさせていく。結局のところ虚しさをもたらしてしまう悲劇的な終わり方にいたる…。正直ギルド作品の中では好まない映画であるが、橋浦監督が何をしたいかと言う事は映画から伝わってきた。
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