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ブランカとギター弾きのHKのレビュー・感想・評価

ブランカとギター弾き(2015年製作の映画)
3.5
パケ写から可憐な穢れなき主人公を想像していたら、この10歳くらいの女の子がいきなり物乞いはする、お金は盗む、暴力を振るうとちょっとビックリ。
しかも他の子供たちより盗んだお金の取り分は多いというしたたかさ。

冒頭からフィリピンのスラムで暮らすストリートチルドレンの過酷な現状を見せられます。
可憐で純真なだけでは子供は生きていけない世界だということでしょう。

監督はなんと日本人で舞台はフィリピン、製作はイタリアという変わった映画。
監督・脚本の長谷井宏紀は当時40歳で本作は唯一の長編映画。
主人公のブランカ役の女の子はYouTubeで歌っているのを監督が見つけてスカウトしたらしいですが、他の出演者の多くは現地の路上キャスティングだそうです。
盲目のギター弾きはそういう役ではなく本物の盲目のギター弾きだし、主要な子役も実際にスラムの子供たちです。

そのせいもありドキュメンタリーのような本物感。
写真家でもある長谷井監督の映像がさらにそれを強調しているようです。
映画として作られた世界ではなくリアルな日常なのだろうと思わせる力があります。

この後も彼らの生活はこのままずっと続くのでしょうか・・・
過酷な中にも主人公がたまに見せる笑顔に少しだけホッとします。
人は自分自身でひとつひとつ選択をしながら生きていくしかないのでしょう。
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