このレビューはネタバレを含みます
マニラを舞台に描かれたストリートチルドレンと盲目ホームレスギター弾きの老人の物語
素朴な作品ですが、とても沁みました。
どこか是枝作品的な、ブランカ達に寄り添う様な目線を感じる作りが伝わって来たのもとても印象的でした。
積極的に感情を揺さぶる様な作りではなく、淡々と描いているのに、何だか胸がとても苦しくなりました。
淡々と描いているからこそ、ピーターのひとつひとつの反応から垣間見える人柄、それを築いてきた彼の半生の様に、描かれていない部分が寧ろ強く染み入って来るからかも知れません。
最初に望んでいた有名人の養子になる事は気にも止めず、そこに現れた猫の様に、何も持たず、勿論盗みもせず、オレンジ色のドレスひとつで"家"に帰るブランカにまた心を揺さぶられます。
端から見れば元に戻るだけなのに、そこには求めていた"家"が築かれていたのがベタ王道ながらやはり安心できます。
ブランカ達の家が目に見えたなら間違いなくオレンジ色なのでしょうね。
ブランカとピーター、そしてセバスチャンに幸多かれ、とオレンジ色の文字のエンドロールを見ながら思うのでした。
ブランカ役サイデル・ガブテロさん、
ピーター役ピーター・ミラリさんはじめ、初めての演技との事、日本の長谷井宏紀氏監督作品であることを含め、驚きました。
以下諸々、、、
・朝食代は残していけというピーター
・「水を飲んでくる」と嘘をついてベッドを離れるピーター
・孤児院に黙って連れて行くピーター
・余計な事を言わないピーター
・言葉は交わさなくともブランカと判るピーター
・青は海の色、空の色
・オレンジ色は暖かい心の色、夕陽の色
・ブランカのオレンジ色のドレス
・ピーターの青いシャツとオレンジ色のジャケット
・長袖はアメリカ人の服
・鶏は飛んだ
・街に犬がいる風景
・セバスチャンの泣かせに来る純粋さ
・エンドロールはじめの驚きと悲しさ