ハル

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのハルのレビュー・感想・評価

4.1
とうとう『デッド・レコニング』前、最後の章。
『フォールアウト』の名の通りとにかく落下系のアクションやスタントが多く、どれも信じられないレベルのクオリティーで作り込んでいた。
当然のようにトム・クルーズはまたしても自身でこなす上に、今回はヘリの操縦まで。

通常、空撮は自分で運転しないのが当たり前らしいが、彼は『2000時間』のトレーニングを行い挑んだらしい。
また、スタントを使わない理由は「観客に見抜かれるから」というシンプルな理由だった。

確かにCGだと観ている側にもわかってしまうし、VFXなどの高い技術で現実世界とリンクさせてもそれはマーベル方面の十八番だから一線を画す意味でも拘っているんだろうな。
全部作り物か…という白けた空気感は百年の恋も醒めてしまうほどスクリーン前の温度を低下させるため、そういった危惧を完全に排除する意味でも、最強のエンターテイナーとして絶対に譲らないトム・クルーズの強き思いを感じられる本作。

俳優史上初めての試みが多く『ヘイロージャンプ』も『グラン・パレ』への落下も命懸けの高難易度スタント。
けれど、最もインパクトがあったのはひたすらに走るシーンだったりする。
ビルの上もオフィス内も街中も、とにかくイーサン・ハントが必死で走り抜ける。
これが『全力疾走』だ!!と言わんばかりの決死の表情。
そして、いよいよクライマックスのビルからビルへ跳び移るシーン、ここは緊迫感が極限まで高まる前半のハイライトとなっている。
ちなみにここでトム・クルーズは足を折り、全治数ヶ月の診断が下った。
その後、リハビリを鬼のように頑張っり6〜7週間後には撮影していたらしいので、このエピソードからも人間ではなく神であることがわかります。

なお、トム・クルーズだけではなくレベッカ・ファーガソン演じるエージェント、イルサも負けじ劣らず凄かったのでそこも必見。
彼女は元々格闘技をやっていたのかな?
繰り出す体術のレベルが桁違いのキレの良さ、プロの戦闘術にみえる。
連作で出演するだけあってハリウッド広しといえどもここまでやれる女優はそうそういないんだろうな。
強い女はカッコいい✨

さらに、今作は心情面でも大切な要素が描かれている。
フォーカスされているのはイーサン・ハントがこれまでに関わった人達について。
ジュリアとイルサの関係性やルーサーとベンジーとの友情…話をすべて追って来た身からすると深い、いや深すぎる件。

特にジュリアとイルサの掛け合いは思わず興味津々で見入ってしまった。
自分を守るために離れたイーサン、と同時に彼と行動ができる強いイルサに対して抱くジュリアの儚く切ない想い。
力不足かもしれないけど、それでもイーサンの味方でありたい気持ちも彼女の行動から痛いほど伝わってきて泣けた。
シリーズ通したアクションも素晴らしいけれどイーサン・ハントが歩んだ道を振り返る瞬間、様々な人との関係性がどのように醸成されているのかを見られるのは最高にエモい。

さて、これでとりあえず履修の旅も終わりましたが、全て見終わって感じたのは『ミッション・インポッシブル』を観てトム・クルーズのファンにならない人なんているの??という事。
圧巻のパフォーマンスを最後まで手を抜かず愚直にやり続ける姿、真のスーパースターの凄味と魅力に誰しもがやられてしまうはず。
まだ最新作公開まで時間もありますし、興味がある方は是非ミッション・インポッシブルシリーズを楽しんでくださいね✨👍
ハル

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