しんご

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのしんごのレビュー・感想・評価

3.9
回を増す毎にトム・クルーズがどんなアクションに挑戦するかがクローズアップされがちな本シリーズ。正直トムのアクションシーンを撮りたいがために組まれたような展開が一部あるのは否めないけどそれを踏まえても良質な娯楽作品であった。

根本的なストーリーは非常にシンプルで分かりやすい。「ゴースト・プロコトル」(11)でふんだんに駆使されていたハイテク機器は鳴りを潜め、イーサンに指令を伝える装置も往年の「スパイ大作戦」を思わせる簡易なものであるのが印象的だ。

それにも関わらず、過去作における登場人物たちの絶妙な絡み及び本シリーズ特有の連続ギミックにより150分近い上映時間を全く飽きさせない工夫は流石というべき。「ローグ・ネイション」(15)に続き、クリストファー・マッカリーが監督・脚本を担当したことも相まってかイルサ、レーンが再登板するプロットもファンにとっては胸熱でストーリーに対してすんなり感情移入出来る。

そんな「お祭り騒ぎ」的な穴を補填するかの如く展開されるトムのアクションはまさにジャッキー・チェンを彷彿させる躍動感と危険さで、下手をすればB級になりさがる本作の質を見事に底上げしてくれた。

予告でも紹介されたヘイロージャンプやヘリの急降下はもちろん圧巻だが、パリ市内でのバイク疾走シーン、結果骨折被害まで負ったビル跳び移りシーンなど実際に役者本人が敢行しているからこそ伝わる緊迫感に手汗が止まらなかったし、本人の撮影自体がまさに「不可能ミッション」であるにも関わらずそれを「可能」にした製作陣の気概に純粋に感動した。

アクションの可能性を大いに感じたし次回作もまた面白くなることを願ってやまない。
しんご

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