おむぼ

国歌のおむぼのレビュー・感想・評価

国歌(2006年製作の映画)
4.1
アピチャッポン監督の映画でよく見る要素をよくぞ5分間に詰め込んだという感じの、全ての映画における序曲がこれで良いと思うぐらい、なんだか涙が出てきてわくわくする夢のような気持ちの良い短編である。

川のほとりでおばはん3人が小さいラジカセでストリングスの入ったNEU!的ポップミュージックを流しながら世間話を挟みつつ男への執着を捨てた明るい会話を行い、唐突にそのポップミュージックが生の音になり3つのコートがある体育館にワープして、その場をぐるぐると周回して見せていく。

コートでは端から強い照明が焚かれたりマイクやカメラといった機材が置かれたり足場まで組まれて何やら壮大に撮影している様子で、その中、バドミントンが行われていたり、遠くのコートでは集団でエクササイズのように踊ってたり、少し音楽にノリながらバドミントンを眺めている人たちがいたり、よく見るとコートの中心に置かれた白い机にはおばはん3人もワープしていて黄色い果物(世間話で話題にしていたマンゴーか)を選別していたり、踊る集団は数人がバドミントンのコートに入ってきたりと、気まぐれに好きなようにいきいきと動く自由さを映画に残すということをワンカットで映していた。
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