政府とメディアの癒着や狡猾な権力争いなど、「フィクサー」「新聞記者」でも見かけるような骨太社会派エンタメ。よく練り上げられたストーリーが面白く、何層にも厚みがある脚本に最後まで騙されてしまいました。珍ゴルフが話題にのぼりがちだけど、私はアパート前でのアクションシーンが何気に好き。逆光を活かした暴力がカッコよく、光で縁取られたシルエットが映像として強くて痺れます。腕ギコもお気に入り。部下へのケーキや本だらけの地味な実家など、些細な描写も2人の人柄がにじみ出ていて、なんとか頑張ってもらいたいと応援したくなりました。それぞれ生きている世界も目的も異なるなか、復讐心と正義感で交わり合うバディは斬新。妙演という言葉に相応しい、いかにも堅気でない4種類のイ・ビョンホンも堪能。ビョンホン氏にしては珍しくスッキリ爽快、清々しいラストも最高です。