悲劇的な設定の「ありがちさ」と、メッセージの「シンプルさ」が、終始噛み合ってない印象を受ける作品。
内容としては、かなりど真ん中の「愛」にまつわる物語なのだが、その愛の障害となる要素があまりにもコテコテ過ぎる、、。
男も女も、他の作品にリファレンスがあるようなTHE・王道設定をさらに薄めたようなストーリーが展開していくので、テーマも何となくふわっとしている。
例えば『灼熱の魂』は、同じ「愛」をテーマにした映画だけど、物語の強さがメッセージをより強化していたように思う。
テーマ性をシンプルで攻めるなら、付随する物語の濃度は濃くしないと、全体の印象としてぼやけてしまうのかもしれない。
ただ人間ドラマの背景にある雄大な風景は流石ロードムービーの神たるヴィム・ヴェンダース。映像の求心力が強いので、不思議と最後まで観られます。
あと教授役のアリシア・ヴィキャンデルはマジで眼福過ぎる。