shibamike

資金源強奪のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

資金源強奪(1975年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

銀行強盗が行われている。「金、出さんかい!」銃声。悲鳴。強盗犯二人はなんと爆弾まで持っている。「爆発させるど!」悲鳴。用意される大金。札束を袋に詰める犯人。うっかり爆弾を落とす。「あっ」爆発。何とコミカルな銀行強盗か。完全にポンコツ強盗犯である。

ところ変わって賭場。羽田組兄貴の国吉が突然危険な話を若い衆に持ち込む。「敵の組長のタマ取ったら、お勤め後、幹部や。ヤル奴付いてこんかい!」放り投げられるチャカ2丁。顔を見合わせる若い衆。「おどれら、金玉ついとらんのかぁっ!」国吉一喝。「わしゃ根性ありじゃい!」若い衆の清元がチャカを握りしめ、表へ飛び出す!敵に襲撃を仕掛け、見事に清元が組長のタマを取る。そして、清元はお勤めへ。

月日は流れ8年後。清元はお勤めを終え、晴れて娑婆へ。刑務所から出てきた清元を国吉や愛人静子が出迎える。久し振りの再開に清元へ駆け寄る静子。しかし、清元は静子をかわし、国吉に挨拶するのだった。この時、清元は静子が国吉の女となっていることに気付いていたのであろう。

自由の身となった清元。羽田組の幹部ポジションが用意されているものとばかり思っていたら、何とビックリ玉手箱!幹部ポジションはおろか、「敵対する組の心象が良くないので、おとなしくしといてくれ」と冷や水をぶっかけられる有り様。「こら、清元はん怒るでぇ~」とニヤニヤしながら座席シートの座り心地を直す自分。ところが、意外や意外!「あ、そっすっか。了解っす。というか、もう堅気になります。」とあっさり冷や水を嚥下する清元。というかヤクザ廃業。「こら、一体どうゆうことや?」清元のあっさりした態度を訝る自分。

清元の不可解な態度の理由はすぐに明らかとなる。何とキャツめ羽田組から大金を強奪する計画を立てていたのだった。8年という年月を刑務所で過ごした清元には口では言えぬほど壮絶な激情があったのであろう。若気の至りで組のために殺人を犯したが、組のヤツらの薄情さが骨の髄にまで沁みた。清元は自分のみを信じ、他のヤツらは全員敵とみなすようになっていた。その回答が本作タイトルでもある「資金源強奪」である。これまで無駄にした人生をやり直す。その資金源いただくぜ!清元の大胆で危険な計画が始まる。

羽田組が主催する花会を襲う計画を立てるが、1人では到底実行は不可能であった。そこで清元が目を付けたのが、爆弾魔別所と所帯持ち小出である。刑務所で知り合ったこの2人と強奪を実行する。冒頭で銀行強盗コントを観ている我々観客は即座に思う。「清元、その2人はやめておけ!…小出はいいとして、別所はやめておけ!」そんな自分の心配もどこ吹く風。強奪の準備は進められる。準備シーンで別所が催涙ガスを作製するのだが、薬品の計測を哺乳瓶でしており、グッときた。イカす。競艇新聞の赤字が伏線というのもワイルドで良し!

強奪自体は首尾よく成功する。ポンコツ別所もノーミス(新聞の切れ端残すけど)。だだっ広い琵琶湖を颯爽と逃げ切る3人。ソープ街雄琴も怪しげな雰囲気を醸し出していてgood。

まんまとしてやられた羽田組。「犯人探しどないしよか?」と困っていると、適役がいた。悪徳刑事の能代だ。金にモノを言わせ刑事を雇うヤクザ、ヤクザに雇われる刑事。オラ、ワクワクすっぞ!

腐れ刑事の能代であるが、捜査能力はそれなりにあり、競艇新聞の赤字から別所にたどり着く。誤解したらいけないのが、能代の捜査が優秀なのではなく、別所がポンコツ過ぎる。手にした大金で途端に羽振りよく賭ける、という清々しいダメンズ。競艇のシーンでは山城新伍がノミ屋を演じているが、「一般」と「一犯」のギャグは素晴らしかった。真似したい。この他、能代の愛人が高級マンションのチラシを見て「日当」と「日当たり」を勘違いするギャグも能代のツッコミと合わせて素晴らしかった。真似したい。

結局、別所が家の扉を開けっ放しでセックスしてしまうため、能代にサクッと捕まってしまう(何ちゅう理由だ)。清元は自分も犯人とバレないようアレコレ動くが、最終的に羽田組に完全にバレてしまう。自宅に戻ると、国吉と部下が待ち伏せしていた。静子は国吉に殺されかけると、命惜しさに清元を罵る。一命をとりとめると、手のひらくるリンパで清元に猫なで声。ダメだこりゃ。清元はやはり静子の本性をとっくに見抜いていた。

羽田組に大金没収されてしまうが、あきらめない清元。刑事をクビになった能代と組んで、羽田組を襲う。通天閣から睨むスナイパー梅宮は最高!
最後は何だかんだ高飛び成功でめでたしめでたし。

ストーリーもテキパキしているし、役者も素晴らしいし(ビバ川谷拓三)、時間を忘れて観賞を楽しめた!
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