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ゆめのほとり -認知症グループホーム 福寿荘-のADULTVIDEOMANのレビュー・感想・評価

2.5
同じ認知症をテーマにしていても、「毎日がアルツハイマー」や「徘徊」には映画としての出来は遠く及ばない。何の「問題」も浮かび上がってこず、ただ単に優しく接する職員ばかりが登場するこの映像に何の意味があるのだろうか?「優しさ」や「寄り添う」営為さえあれば福祉が成り立つとでも考えているのだろうか?もしかしたらこれは単にこのグループホームの宣伝映画なのではと勘繰ってしまうほどの<無毒>さだ。
そう、たしかに理想的な認知症支援のありかたがここにはあるだろう。そして理想的な「職場」像も提示される。なによりも<家庭>のなかに閉じ込められ、ストレスフルな家族介護を行っている人々にとっての救いやエンパワメントとなる力は十分に映像として持ち合わせている。しかしただそれだけなのだ。過酷な労働環境が昨今喧伝されている介護業界の抱える問題群のひとかけらも見えない(見せない)ユートピア。もちろんこんな素晴らしき世界があるに越したことはないけれど、ドキュメンタリーがするべきことはもっとほかにあるはずだ。
余談だけれど風景や植物の撮り方だけは美しい。
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