さすらいの旅人

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.4
巨人退治はもっとファンタジー色を強くしてほしかった。BS/WOWOWシネマBD録画視聴。

ディズニー配給の巨匠スピルバーグのファンタジー作品。
スピルバーグは過去作品でもディズニー作品のオマージュが多い。
ディズニーの「ピーターパン「ピノキオ」「ダンボ」等の作品や主題曲の引用など多岐にわたる。
本作はBGFと言う巨人が児童養護施設の少女と共に極悪巨人を退治する物語。
正直、夢のある優しいファンタジーであるが、現代的感覚に乏しい映画になってしまった。旧来のディズニー映画の主対象の子供向け作品であり、大人の鑑賞となると甘ったるくて平坦過ぎる。また作風が「ガリバー」と「ジャックと豆の木」が合体した感じだ。

時代は現代英国であるが、クラッシック調の場面からは19世紀から20世紀初頭のような古い英国を感じさせる。オープニングの夜の児童養護施設からの脱出はまるでピーターパンを連想させる。
スピルバーグらしく巨額を投資したCGは繊細で美しいし、スピード感溢れてさすがだ。ただ、圧倒的にGG場面が多いので実写というより、3Dアニメ化した方が良いように感じる。巨人の国で夢を捕獲するシーンは幻想的で創造性豊かであった。「アバター」の光る夜行性植物と似ていたが素晴らしかった。

本作は前半の方がドキドキ感があって面白かったが、後半の王室を利用した巨人の退治はあっけなく終わり失速した。退治方法もあまり夢を感じなく個人的に不満である。王室内での巨人の待遇は唯一のお笑いシーンで面白かった。少し下品で汚らしい事もあったが…。
本作は本来のスピルバーグ監督作品から見ると力量が落ちていると思う。初期作品にあるような力強さと興奮が無いのだ。