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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントのTEPPEIのレビュー・感想・評価

3.7
本作がなにかと同じくスピルバーグ監督作であり代表作の「E.T.」と比較されたのは、「BFG」を最後に亡くなった脚本家メリッサ・マシスンの作品であるからだ。実に数年ぶりとスピルバーグと組んで、長らく映画化が断念されてきた児童文学をいまこうした現代でどう解釈するかというのは敢えて避け、マシスンは「E.T.」と同様、この映画を誰に向けるかをはっきりさせていた。本作を大人が見るには幼稚過ぎるという意見も1つだが、スピルバーグがかつて描いた興奮と純粋に楽しく、チャーミングなアドベンチャーがこの映画には詰まっている。亡きロビン・ウィリアムズが演じる事自体が難しいと断念した、ビッグ・フレンドリー・ジャイアン、お優しい巨人を見事に演じ切ったマーク・ライランスはパフォーマンスキャプチャーで演技の幅を大きく広げた。元々優しい顔つきがグッと巨人の存在感を身近にしてくれる。しかも視覚効果は凄まじく、ちょっと前に日本がやらかした巨人映画なんかもう悲惨に見えてしまうぐらい「小さき者」からの視点や巨人からの目線、それぞれに工夫がありワクワクさせてくれる。
巨人自体に詳しい背景は描かれないが、セリフ1つ1つにそれが見え隠れする。かつて巨人は穏やかだった、地球と同い年、共存してきた人間代表少女を演じたルビー・バーンヒルのとにかくチャーミングな演技が楽しませてくれる。
児童文学である原作は未読だが、作品そのものに優しさを感じる。それを画面から伝える力を出すのもスピルバーグの演出で成せる事であり、映像の美しさと細かく、時々ブラックなユーモアがどこか懐かしさを醸し出す。古典的っちゃあ古典的なのだけど、興行的には上手くいかなかった大作でもメリッサ・マシスンとスティーブン・スピルバーグが見つけた素敵なソフィーという少女の物語を描き切った。
総評として「BFG」はとにかくチャーミングなファミリー映画で、視覚的にあそびもあり、少年少女時代に見れば代えられぬ、強い印象が残る作品である。
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