みーちゃん

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のみーちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
重いテーマだけれど、100分間に絞り込まれていて、サクッと分かりやすかった。

先ず、目的別の各種ドローンを用いたターゲットの偵察と、英・米・ケニアの合同チームによるリモート軍事作戦という、テクニカルな部分が、エンタメとしておもしろい。(今は更に進化して蚊より小さいとか!)

そして、少女アリアの存在。彼女が登場した瞬間、辛い展開は覚悟した。それでも、やはり、自宅の位置がズームアップされた時は、改めて現実を突きつけられたようで、ショックだった。

後半50分間の、ミサイル発射をめぐる苦渋の決断と、ドローンのオペレーター達の葛藤はリアルタイムで進行しており、見応えがあった。で、全てが終わった後に感じたのは、"結局、どの時点で攻撃しても、結果は同じだったのではないか?"という事。おそらく、50分前に実行しても、ダメージの程度に大差はなかったと思う。

では、この時間に繰り広げられた議論や、現場での行動は、無駄だったのか?と考えると、決してそうではなく、意味のあるプロセスだったと思いたい。なぜなら、もし、これを人間じゃなくAIが判断したら、どうなるだろう。そんな問題提起を感じた。

演出的には、ヘレン・ミレンの感情を抑えた指揮官像が、物語に厚みを加えていて、さすが!だった。あと、本作が遺作となったアラン・リックマンが素晴らしい。最後のセリフには誰も言葉を返せない。