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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のzunzunのレビュー・感想・評価

4.1
最大多数の幸福論。ベンサムの功利主義な見解や様々な倫理的アプローチが出来る作品であるが、これが今現代行われているドローン戦争の実態なのだと痛烈に感じさせてくれる。

僅かな時間内で描かれる人間ドラマは俊逸。初任務でナーバスな軍人。徹底なリアリストの大佐。それぞれの責任や倫理観と葛藤しながらも任務を遂行しようとする軍人たち。それに対し綺麗事を並べる者や保身に走り責任逃れをする政治家たちが滑稽に映る。あわよくば、悲劇をプロバガンダに利用とする動きまである。
シビリアン・コントロールは大切だが、これが政治的プロセスの現状なのかもしれない。珍しく軍人寄りの作品であった。

舞台劇としても通用する内容でありながら、高空からの俯瞰視点など映像冥利に尽きる演出がふんだんにあり、刻一刻を争う状況に常にハラハラさせられる。ミサイルが発射されてからの50秒間は祈るような気持ちで見るしかなかった。
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