かに座

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のかに座のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

作戦の正当性の置き所がわからず責任を逃れたい役人、テロによる大量殺戮を阻止する事が正義と信じる高官、実際に命を奪う操作をしなければならない兵士。
それぞれがそれぞれの立場とモラルの間で揺れる。観客も含めて、皆が同じ映像を見ているというのが面白い。
当然、観ているこちらも判断を問われるわけで…

結局少女を巻き込む形となってしまい、多数の命を選んだ人(観客も含めて)の心を打ち付ける。
それを受け、少女の命をとりたかった人たちがいかにも言いそうな恨み言を弁護士?が代弁してくれるが、中将が自爆テロ現場の凄惨さを匂わせる一言を残す。所詮自分の考えは温室の甘言にすぎないのかと苦い味が広がる。

結局どちらが正しかったのか。答えは立場の数だけあって、変わらないのは傷ついた人がいるという事実だけ。
戦争行為における正義がいかに勝手なものなのかを改めて考えさせられました。
その直後、アナベル人形を渡された中将の「そんなものがあったか、全くそんな気分じゃない」という苦虫を噛み潰した顔。全く同感です。すっかり忘れてたし…。

もし自分がこの状況に置かれたらどちらを選ぶのか? 何ができたのか? と考えると手が震えます。
なんだか縮こまって鑑賞していました。あっというまの1時間半。
かに座

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