CoHeyさんは凍結されました

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のCoHeyさんは凍結されましたのレビュー・感想・評価

3.4
「アイ・イン・ザ・スカイ」見てまいりました。

残念!残念としか言いようのない映画!
「つまらない」を言いかえた意味ではなくて、そのままの意味で「残念」なのです。
何がって、この映画を「シン・ゴジラ」の後に見ることになってしまったことが残念なのです。
「シン・ゴジラ」を見る前にこの映画を見ていたら、評価は一段高かった筈なんです。でも、後に見たら、二段落ちてしまう。
もうね、本当に残念!

「シン・ゴジラ」と対比させるってーことは?で、察しの良い人は気付くと思うんですけどね、要するに、軍の戦闘行為に対する意思決定で延々と会議する映画なんですよ。「アイ・イン・ザ・スカイ」。その緊迫感の演出とかも、「シン・ゴジラ」以前の映画としては正しいんです。

(ちなみに、「アイ・イン・ザ・スカイ」の米英の公開は、昨年の4月で、「シン・ゴジラ」より前です。日本では遅れて12月公開でした。

でもね、もう本当に、「シン・ゴジラ」が如何に斬新で如何に面白かったかを、つくづく感じさせられてしまうんです。

希薄な人物描写、専門用語での早口の台詞、シーン転換のテンポ、アクションの見せ方、その全てが、「シン・ゴジラ」の斬新さに比べて一世代前の描写に感じてしまうんです。

似ているところがある分、どうしても「こういう描写はシン・ゴジラの方が面白いぞ?」と考えざるをえない。

例えば、「シン・ゴジラ」のうまい点で、テンポの早さってのがあるんですけど、あれ、シーン転換の巧みさで成り立っているんですね。
「シン・ゴジラ」、会議や仕事の場所がどんどん変わっていきますよね?そこには取材に基づいたリアリティを盛り込みつつの作劇上の必然性がある。それが「シン・ゴジラ」の脚本のうまさであり、独特の作品テンポを生む一つの要因になっているんですね。

「アイ・イン・ザ・スカイ」はその点であくまで旧来的なんです。
おかげで、作劇的に状況変化が起こっても、結局同じ事を繰り返しているだけにしか見えないんです。一度「シン・ゴジラ」を味わってしまった者にとっては。

もし、「シン・ゴジラ」を見る前であったなら、そのミニマル感も斬新さとして受け入れるとこができた筈なんです。
でも、見ちゃった者がこの映画を見ると、「シン・ゴジラ」が単にミニマルなだけではないことにつくづく気付かされてしまうんですよ。
もうね、つくづく残念!

「シン・ゴジラ、面白かったんだけど、何がそんなに面白かったんだろう?」と、面白さに疑問を持っている人は、一度「アイ・イン・ザ・スカイ」を見てみてください。そんで、どこが違うか観察してみてください。結果として、面白さは人それぞれなので、こっちの方が好きという人ももちろんいるでしょう。
でも、その差に映画としての革新性、斬新さ、特異さ、そういうものを色々と考えさせてもらえる切っ掛けはあるはずです。

もう一度言います「残念」なんです。でも、つまらない訳ではありません。「アイ・イン・ザ・スカイ」、興味を持ったなら是非見てみてくださいと言える一作です!