Angeprunelle

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

推定80人の命か、一人の少女の命か・・・

それがメインストーリーとして描かれていて
一体何が正義なのだろうと
それぞれの抱く正義を闘わせ葛藤し
ギリギリの決断を下すという
ハラハラドキドキの展開が繰り広げられるのですが
本当に重要なのはそこじゃない。

この作品の根底で描かれているのは
戦争の悲劇ではなく、正義の所在でもなく
最先端技術の脅威とそれを扱う現代人のズルい心であり
それがもたらした数え切れない程の新種の悲劇である。

自覚の無い痛みもない匿名の加害者。

最先端技術で私達の生活は確かに豊かになったし
何より便利になった✧

けれど時々思う。
というかしょっちゅう思う。
最先端技術では生活を豊かにするモノが
数え切れないほど生まれてきたけれど
この世に絶対無くてはならないものは
何一つ生まれない。
けれど絶対的にあってはならない悲劇は
近年では数え切れない程生まれてしまった。

私達一人ひとりが積み重ねた悲劇。
最先端技術を私達は巧みに使いこなしているようで
それは全くの見当違い。
正しく使いこなせてないから広がる悲劇。
自分の身に降り掛かる突然の苦痛や恐怖。

こんなズルい世の中で
こんなズルい環境で
こんなズルい大人ばかりで
どうやって次の世代を担う子供に
正義を説くんだろう。

時代は変わっていくけれど
このままあらゆる悲劇や問題に関して
何も議論せずに何もクリアにせずに何も抵抗せずに
進んでいくのは正直恐ろしくてたまらない。

今でも十分恐ろしいことを私達は起こしているんだから。

私達は贅沢と便利を手にし代わりに
心の豊かさを失い生きやすさを手放したのかもしれない。
Angeprunelle

Angeprunelle