イムタケ

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のイムタケのレビュー・感想・評価

4.0
ドローン・オブ・ウォーとほぼ同じシチュエーションのイギリス映画、わ
ドローン・オブ・ウォーがドローンパイロットの苦悩を表現したのに対し、こちらは作戦に関わる軍人、政治家の葛藤を描いている。

アフリカで発見したテロ首謀者をイギリス、アメリカなど、離れた地域から映像で追いかけ、ゲームにも似た現代の最先端の戦争の様子を見せながら、軍事行動に伴うそれぞれのポジションでの判断、法律の解釈、外交問題、そして人を殺める事に対する倫理観を観た人に問いかけていく。

人々のリアルな営みを破壊するのは
その生活感のカケラも届かないような遠く離れた作戦指令室や会議室からの命令。
最終判断を下す責任の所在がたらい回しにされるなど、慌てふためく政治家たちの滑稽さは戦争行為の矛盾を浮彫りにしていく。

そもそも自分とは直接関係もなく、恨みもない人の命を奪うという戦争は非常にバカバカしい行為で、人間以外の動物ではまず起こり得ない。
人間は国や地域、宗教など共同体という幻想を持つことで、社会を発展させて来たが、その幻想による不幸も同時に背負ってきた。

画面の中の判断によって、実際に血が流れる奇妙な戦争が登場してきた今こそ、みんながこの滑稽な出来事に気づくべき時なのではないだろうか。
イムタケ

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