牛猫

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場の牛猫のレビュー・感想・評価

4.0
テロリストの撲滅と罪のない民間人の少女。判断を任された軍人の葛藤と戦争の現状を描いた話。

世界一安全な戦場のタイトルが示しているように、この映画では軍人同士の戦闘描写は一切ない。
しかしながら、これまであまり取り上げられることのなかった作戦室での戦争。その判断の難しさがリアルな緊張感と共に伝わってきて、非常に重々しい内容だった。

刻一刻と変化する状況に心拍数が上がりっぱなし。
決断を迫られた大臣達のあたふたっぷりも生々しかった。
そんなリーダー達と現場の司令室の間で板挟みになるアランリックマンが、静かながら確かな存在感で映画全体を締めていた。戦争の代償という彼のセリフが心に刺さった。

でも大事な決定権を持っている人が、判断を下す現場にいないってあり得るのかな。

映画としては一つの結末に至るわけだけど、どう判断すべきだったのか。正解を出すのは難しいけれど、テロリスト側にもそれぞれ事情や信念があるわけで。
このような状況になってしまった背景についてもっと考えるべきだと思った。

この映画で描かれているのは、数ある作戦のうちの一つ。この結末の先で、今もなお戦争はずっと続いているのだと痛感させられた。

答えのない戦争についての問題提起作としても、手に汗握るサスペンスとしても秀逸な作品だと思った。
牛猫

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