垂直落下式サミング

貞子vs伽椰子の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

貞子vs伽椰子(2016年製作の映画)
4.0
20年前に私を失禁させたJホラーが誇る二大スター『リング』の貞子と『呪怨』の伽椰子が世界観を共有し、スクリーンで相見える時が来たのだと思うと熱いものが込み上げてくる。
監督はホラーフェイクドキュメンタリーを多く手掛けてきた白石晃士監督。若い女の子の虐め方が上手い監督だ。彼の作品に登場する女性は、横暴な上司に振り回されたり、悪霊に取り憑かれたりと散々な扱いを受けることが多いが、本作は日本を代表する悪霊がアイドルたちを取り殺そうと巨大な不条理となって彼女等の身に押し寄せて来るのである。
小学生のいじめの描写は、ちょっとリアルでちょっと可笑しい。数が多くて気が強いほうの陰湿さや、いじめられてる側の心の屈折加減もよく描けていると思うのだけど、超常的な呪いの力を前にすれば、どちらも平等に助からないようで諸行無常な感慨を抱かせる。不浄な穢れというのは、善も悪も無垢も邪念も関係なく触れたものすべてを汚染し不幸にしてしまうのだろう。
白石作品の特徴であるオカルト界隈で名の知れた心霊知識人たちの胡散臭いキャラ造形は健在で、どいつもこいつも他人にやたら偉そうなのが笑える。
なかでも森繁先生がいい。除霊師たちのように偉そうな態度はとらないものの、有里と夏美に呪いのビデオを手渡されたとき、「観る。もしこれが本物だとしたら、二日後に死んだっていい!」とのたまい、あろうことかそのビデオを嬉々として観てしまう。
観賞後に貞子からのイタ電攻撃を受け都市伝説は実在したのだと確信。大の大人が「あった!あったんだ!本物だ!」と年甲斐もなくはしゃいでみせるのだ。なんて男なのだろう!研究者の鑑である。
山場は二組の可愛いヒロインが抱き合うガールズラブな展開。山本美月と玉城ティナ。貞子と伽椰子の悪魔合体。うん、いい!最高だな!