あーさん

君の名は。のあーさんのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.2
これは予想外。。
久しぶりの映画館での鑑賞に知らず知らずに期待値が高まってしまったのは仕方ない。
しかし、それをも上回る新海監督からのメッセージの大きさに戸惑いながらも、しっかりと受け止めている自分がいた…。

何と張り詰めた2時間だったことか。。
公開してかなり経つので余裕で観れると思っていた。が、午後の回は満席に近かった。時折音がなくシーンと静まり返った劇場の、ある意味異様な雰囲気を思い出して私はまだ興奮を沈めることができずにいる。

最初の方のRADの曲は確かに大き過ぎた。話に入り込めるまでは、あーコレ無理なヤツかも…
やっぱりアニメだからかな。。
とちょっと観たことを後悔しかけてさえいた。

が、どこからだろう、私の心がどんどん引き込まれて行ったのは。

”言の葉の庭”では映像のあまりの美しさに感動しながらも、少々ストーリーについていけなかった。設定にどことなく無理があると、やはりスムーズに入っていけない。

”君の名は。”の公開にあたり新海監督の出ているTV番組をいくつか観て、やっぱりこの人の作ったものを観てみたい、と思った。
気がつくと、監督が伝えたかった「それまでの人生を変えてしまうくらいの出会い」について、ずっと考えていた。

”君の名は?”

私(僕)が探している人は誰?
どこにいるの?
いつ会えるの?

代わり映えのない同じような日々を暮らしながら、まだ見ぬ人を待ちわびる。あてはなくても、信じている。
どこかにきっと、
いつかきっと、
出会えるはずの、
かけがえのない人がいるはずなんだ。。

監督自身がそういう出会いを実際に経験して、今は辛くても絶対そんな出会いがこの先にあるから諦めないで、とそれを伝えたくて作品を作った、と。夢に見た人と本当に巡り会えるなんてことがあるんだ、と。。

その言葉を自分に重ねて、瀧くんに三葉に重ねて、強い強い気持ちが作品から溢れ出した時、いつの間にか私の目からも涙が止め処なく溢れていた。

もう映像だけの監督じゃない。

RADも同じく。野田洋次郎という人はとても切ない歌が似合うようになった。私の中では音楽的には才能がありながら歌詞があからさま、ストレートすぎて頑ななイメージがあった。だが、監督からのラブコールで今作の音楽を担当した野田洋次郎は違っていた。
彼は素敵な大人になっていた。歌が証明していた。歌を聴いて、涙が更に溢れてきた。。

何これ?ヤバイ!

新海誠、野田洋次郎。

この二人はこれまでも人気があったけれど今作でファンだけでなく、どこから誰が見ても聴いても評価してもらえる作品を作れる人になったと思う。嬉しい。映画人としてアーティストとして成長して行く姿をこれからも見せて欲しい。

時には失敗や寄り道もあるだろうけれど、今の彼らはそれをも糧に大きくなっていけると確信している。

とりあえず、今日はすぐに眠れそうにない。

とてつもない体験をしたような気がする。

希望という言葉があたたかく
私を包んでくれた。






追記

過日、SONGSという番組で
RADWIMPSの特集をやっていた。
「棒人間」という曲を聴いて、
野田洋次郎という人の原点がわかった気がした。

彼にとってバンドのメンバーや新海監督に出会った事は、彼をだんだん人間らしくさせていってるんじゃないかな〜と改めて思った。
出会いが人生を変えていく…
監督の思いが周りにどんどん広がっていく。。
映画そのもののテーマじゃない⁉︎

野田洋次郎、、、やっぱりちょっとナルシストだったりするんだけど、本当は超センシティブでこだわり派アーティストだってわかった。
うん、少なくとも”棒人間”じゃない!
あーさん

あーさん