くわまんG

君の名は。のくわまんGのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
1.0
フィクションは、作者が伝えたいテーマを忍ばせるツール。虚構と向き合う人達は皆、そうやってめいめいの真実を示してくれた。だからこそ、呼ぶ共感が深い。

でも本作は、虚構を以て虚構を提示していた。何の葛藤も無いキャラクターが、ただただ利己的に行動し、全く成長せずフィニッシュするのにハッピーエンドを迎える…こんなご都合は、現実では起こらない。

中身が嘘っぱちなのに、異常に綺麗なグラフィックでリアリティを演出してるのがまた気持ち悪かった。おびただしい装飾の施された宝箱のよう。

安易で抵抗の小さい非現実を“人生で一番大事なもの”のように見せるのは、害悪だと思う。「これが大事だと思えないのはお前が非リア充だからだ」と言ってるようなものなんだから。

あと、主題歌も映画とマッチしていて気持ち悪い。こういう楽曲がシーンを牽引している国は、世界中探しても他に無い気がする。

映画も音楽も小説も漫画もアニメも、結局個人の好き嫌い。ただ、やっていいことと悪いことがあると思う。現実に還元できるフィクションを手掛けてほしい。