『千と千尋の神隠し』が宮崎駿監督作の集大成的作品だったように、本作は製作の川村元気氏が語っているように「新海誠監督のベスト盤」的作品。
『星を追う子ども』や『雲のむこう、約束の場所』のパラレルワールド設定。
『秒速5センチメートル』の繊細な自然描写。
”名前”という言葉が持つパワーを表現しているのは『言の葉の庭』にも通じる(『言の葉』のヒロインが古文の教師として本作にも登場)。
…このように、過去作の要素をヴァージョン・アップしてミックスしてまとめ上げている。
自己作以外の影響も多数。
男女の入れ替わりは『転校生』。
主人公が見た事のない景色を描き、訪ねて行くのは『未知との遭遇』。
そして後半の時空が歪んじゃう感じは、『時をかける少女』や『BTF』などのタイムリープ&パラドックスの諸作を思わせる。
もちろん、これだけ成功した作品だから、本作が影響を与えた作品もこれからどんどん出てくるのでしょう。
その意味で、自分があやしいと思っているのは『最後のジェダイ』。
あの中で、レイとカイロ・レンが離れた地でラヴ・シーンまがいの交流をするのは、本作の影響なんじゃないかという気がする。
ライアン・ジョンソン監督は『LOOPER』なんかも撮ってるから、当然SFやファンタジーは好きだろうし、アメリカでも公開された本作を観ているんじゃないだろうか。
そのおかげで、結果的にジェダイの超人化が進んでしまい、かなりの数のSWファンの不興を買ってしまっているのはザンネンではありますが(苦笑)。