ツナ

君の名は。のツナのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.2
公開当時は物凄い反響で逆にアニオタは斜に構えてた感があるので今こそ率直な感想を言います。
好きです。上手いです

序盤の話運びも状況説明もスマートですんなり入ってくる
何より今作で最も進歩した点は背景がちゃんと背景の仕事をしていたことでしょう
入れ替わった瀧くんがお婆ちゃんをかついで山を登るカット、恐らく従来の新海だったら手前9割に紅葉の葉を茂らせ奥の葉と葉の隙間に小ちゃく歩く3人、みたいなレイアウトを取ったと思うんです
それが今回はしっかり手前の一番目立つ箇所に3人を配置し奥の紅葉はあくまで背景としてレイヤードで軽く流す程度、しかしちゃんと細部は書き込む。状況説明と芝居が分かりやすく美麗な背景の魅力も損なっていない、ある意味凡庸ですがその脱臭された画作りが確実にキャッチーさに繋がりました

加えてRADの音楽を4曲も劇中で流すという荒業を成し遂げられたのは、元エロゲメーカーのOP職人の新海だからこそ為せる離れ業
自分がCD童貞を捧げたバンドの曲なだけに余計感無量でした。
半分MV化してるのも、音楽と映像の親和性の高さという元々あるキャッチーな掛け合わせをルールに則って使った最大公倍数的戦略として、僕はありだと思います。ただ、何回もはやらないでほしい。あくまで一戦略としてはイレギュラーだけどいいよねくらいの感覚です。これに味をしめたらそれこそお手軽にエンタメを作れる文法が出来上がってしまってその諸悪の根源に新海にはなってほしくない。なって欲しくなかった…(2019/8/17現在)
ツナ

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