カルビ

何者のカルビのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.0
結構面白かった。痛々しい登場人物たちの人柄が、少なからず自分に通ずる部分があって、見ていて辛いところも所々あった。(笑)
それぞれがマウンティングし合う感じが本当にリアルで、痛快だった。タクトは、「状況を客観視している自分」というマウントの取り方をしていた。人よりも頭が良い自分、分析力がある自分であると思い込むことで自分の平静を保っていたように感じた。余談だが、最近『呪術廻戦』を視聴しているので、作中に出てくる吉野順平とタクトが重なって見えた。
タカヨシのマウンティングも印象的だった。人とは違った感性や才能がある(と思い込んでいる)自分で武装していた。また、タカヨシに関しては、ファッションを自意識のメタファーとして用いているのかなと思った。スーツを着ない主義だったり、自分の部屋の中でも服装に気をつかうあたりからそう感じた。
劇中でコウタロウとミヅキは、内定を取る人として描かれる。この2人に関しては、他の登場人物ほどは痛々しさがなかったし、正直に生きていて虚勢を張らず、かっこつけていない人物として描かれていたように思う。映画を見ているときも、タカヨシ・タクト・リコを見ているときは、気持ち悪さを感じたが、コウタロウとミヅキに関しては、どこか爽やかさのようなものを感じていた。
ラストシーンに関して。かなり前向きなラストシーンだったように思う。自分自身と向き合い、社会と向き合った主人公を描いた。面接をしていたビルを出て、人々が行き交う社会に繰り出す主人公の姿に、感動した。エンディングの曲も良かった。
「何者」という題名に関して。この題名は、主人公であるタクトのTwitterの裏垢のアカウント名から来ている。この何者と言うアカウント名に含まれた意味としては、何者にもなれない自分、何者かになりたい自分・自分は何者かであると思い込みたい自分・何者かである自分を他人に誇示したいと言う思い、などを表現したものであると感じた。
余談だが、劇団の俳優役で藤原季節が出ていてテンションが上がった。
また観たい。
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