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何者のminamiのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.6
就活、という人生においての一つイベントを通して、ただ淡々と淡々と現代人の日常を、気味悪く描いている。
ずっと違和感みたいなものがまとわりつく、でも本当にリアル。
原作未読なので、文章で読む感じと映像で観る感じがどれくらい違うかは分からないけれど、三浦監督は本当に人間描写がお上手。
もう、なんというか、登場人物全員気味が悪い。

終盤、気味悪さが暴走していく。とくに事件が起こるわけでもない。ただの現実を見せられているだけなのに、悪趣味なホラー映画でも観ているかのように背筋がゾッとします。

途中、これ映画じゃなくてもよくない?と思ったけど、この不気味さは映画だからこそ漂うのかもしれない。

舞台が好きなので、ちょいちょい出てくる激団のシーンは嬉しい。
未完成な感じというか、どこか残念な感じもとても興味深い。
やっぱり藤原季節くん好きだなぁ。

「ギンジ」という存在の呪縛にとらわれ続ける主人公拓人。自分にとって超えたくても超えられない存在、無駄に意識してしまう存在。
誰にも少なからずそういう存在はあると思うけれど、そのことを自分で認められた時に少しは呪縛から解放されるのかもしれないですね。

世の中全てを見下して、でも結局何にもうまくいかない、佐藤健の腐った目のお芝居素晴らしかったです。

設定·主題★★★
物語·脚本★★★
映像·演出★★★
配役·演技★★★★
音楽 ★★★
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