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何者のstalkawayのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.5
「就活映画」なんて冠がついており、上演時間も100分に満たないので油断して観たら、とにかく嫌な気持ちに浸り続けなければならない2時間弱だった。
作中で描かれるような、いわゆる「就活」という通常の手段を踏まずに現職に就いた私は、自らが「何者」なのかを見つめることなく今に至ってしまっている。そんな私にとってもこの作品はとても嫌な気持ちになった。
それは、この映画が掲げているテーマ「就活」は結局のところマクガフィンであるからだろう。実際、終盤の流れは伏線がわかりやすく、読み取るのは容易で何ら衝撃はない点からも「就活そのもの」がテーマではないのだと思う。実際は本作が描いているのは「共感するという恐怖」、6人の主要キャストの誰かしらに共感してしまうという恐怖なのではないだろうか。
作中の人物は、いずれも自分の周りに当てはめることが出来るキャラクターばかりだ。そんな中で私は登場シーンこそ少ないが、サワ先輩に見るに堪えない気持ちの悪さを感じた。表向きはギンジ同様に主人公に大きな影響を与える重要な脇役ポジションに見えるが、実際はポスターにも大きく写っている「達観先輩系男子」である。彼は必死にもがくほかの人物たちとは違い、違うステージから主人公に刺さる言葉を吐いてくる。しかも遠に就活を終えており、主人公にとって心許せる先輩という作中における絶対安全領域から、である。
私は6人の主要キャストの中ならばこのタイプだ。故にこれは個人的な怖さなのかもしれないが、サワ先輩の発言一つ一つが主人公に対してマウントをとっているようで非常に嫌な気持ちになった。
上記とは全く関係ないが、20代後半で高校生役をバリバリ演じていた山田孝之が、33歳になってもまだ学生役を演じているというのも、地味に怖いと思う。
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