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何者のako4uのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
2.8
1分間では話しきれません
その一言がすべてですね

ところで このレビューを書くにあたり “日本の就活のいびつさを真正面から描いていて…” なんて安易に書きかけて、ふと気づいた
就活が異様なのは 日本だけなのか?
んで、各国就活事情をちっと調べてみました

結果、どこの国だって各々に過酷、その国なりの厳しさと異様さがあります
ただ 日本の就活で特徴的なのは 以下

① 新卒一括採用
海外では 通年採用の国が多いので
何十万人が 同じ時期に一斉ヨーイドンで競争!ではなく
したがって 映画冒頭に ホラーじみて描写されてた、集団での就活の光景は さほど見られないのではと思われます
ちなみに、調べた限りだと 韓国と中国は、日本と似た就活システム、かつ より過酷らしいです

② 他国では 具体的な「技能(それまで学んできた専攻)」や「経験(インターンシップなど)」の有無で 採用される場合が多いのに対し
日本では「なんかポテンシャル高そう」という曖昧な基準で 採用される傾向が高いと言われています

海外だと、面接で語るべきことは 結構シンプルになりますな
自分の持つスキルと経験…それこそ1分間でも伝えられるような

ところが日本だと、貴方はどんな人間か、貴方の持つポテンシャルはどのくらいか…それらを数分で提示しろと求められることもありそうです
「学生時代に打ち込んだこと」や「志望動機」…みんな就活本を読んでマニュアルに則って答えてくるだろうに
企業が そこから どういう基準で採用不採用を決しているのか
就活生側から見たら曖昧模糊としてますよね

採用基準が不分明なぶん
不採用が続いた時
自分という存在全体を否定されたような気持ちになり易いかも
自殺や鬱にまで追い詰められ易いかも
しれません

“就活生は観てはいけない映画”的なレビューも多く見かけましたが
僕は、就活生が観てみるのもいいかもしれないと思いました
この映画を通して「就活」を俯瞰することができたら
渦中で溺れそうになった時
実は水底にちゃんと足がつくと、我にかえるための一助になり得るのでは

あの年代の 痛さと 痛々しさ を表すのに
学生演劇を取り合わせてるのが うまいです
終盤、Twitterにあわせて回顧していくシーンが、気づくと舞台セットになっていること、そして観客がいること
この演出もうまいと思いました
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