イチロヲ

座頭市地獄旅のイチロヲのレビュー・感想・評価

座頭市地獄旅(1965年製作の映画)
4.0
得意の賭博でヤクザ者に屈辱を与えた座頭市が、渡航先の江の島(神奈川県)にて報復を受けてしまう。勝新太郎が盲目の侠客を演じている、人気時代劇シリーズの第12作目。

正月公開作品のため、初日の出を拝むべく、神奈川に移動。市と親交を深める将棋好きの浪人(成田三樹夫)、破傷風の幼女を介抱する門付芸人(岩崎加根子)、病身の侍(山本学)とその妹(林千鶴)。各々のドラマが、善悪混交でクロスオーバーする。

凶状持ちのため、子育てとは無縁の人生を歩まなければならない市が、子供の健気な気持ちに絆されてしまう。苦渋の表情を浮かべながら、子供の傍から逃走するシーンと、その心の乱れを浪人に見透かされるシーンが、白眉になっている。

これまではゴア描写が控えめだったが、本作では斬られた後の裂傷や頭部貫通などが特殊メイクにより表現されている。悪党の中にマイ・フェイバリット俳優の戸浦六宏が混ざっているところも醍醐味。
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