風来坊

特捜部Q キジ殺しの風来坊のレビュー・感想・評価

特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)
3.5
頑固で自己中心的で人間としては魅力に欠ける男だが自身も心に闇を抱えているから、犯罪者の闇も理解出来るのか洞察力に優れ刑事としては優秀な男と、どんな事があっても彼を支える中東出身のマイノリティーの刑事の男。そんな2人の絆が魅力でもあるこのシリーズ。

前作に以上にお話が鬱々としていて暗く救いようがない。これが北欧ミステリーの世界観と言われれば頷くしかないのだが、こっちの気分が沈んでいる時に観てはいけない映画。中東出身の刑事と新たな仲間となる事務の女性は好感が持てるが、主人公は息子とした約束も忘れる仲間の忠告も無視で猪突猛進の自己チューで相変わらずのクソっぷりです。

事件の鍵を握るヒロインの心の闇も深く過去の過ちを後悔しているのだろうがそれにしては素直じゃなく、彼女自身にも残虐性があるし心情を理解するのがかなり厳しい。黒幕の過去の事など何も後悔しておらず、新たに悪事に身を染める事も厭わないという方が単純な鬼畜でまだ理解出来ます。

物語としては単純なんですが、時系列や人間関係をわざと複雑にする感じは北欧ミステリーの特徴ですね。ヒロインは事件が20年の時を経て動き出さなければあのままで居たのだろうか?復讐するつもりなら同じ街に居るんだしとっくにやっていそうだし、なんか突発的に復讐を決意したような感じもするしイマイチ分からない。とにかく闇が深くて胸糞が悪い映画でもやもやした物が燻り続ける自分が苦手なタイプの映画なんですが不思議と観てしまうシリーズです。

ラストシーンは自分が好きなパターンで良かった。劇中のあの人の台詞「カールもう十分です」は観てるこっちも本当にそう思う台詞だった。「漆黒の闇のその果てに」そんな映画でした。
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