シガーandシュガー

特捜部Q キジ殺しのシガーandシュガーのレビュー・感想・評価

特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)
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特捜部Qシリーズは原作があまりに胸糞な事件ばかりを扱うので耐えられなくなってシリーズ3作目で読むのを挫折したっけ…。
映画になると聞いた時も、「檻の中の女」をもう一度、しかも映像でなぞる気がしなくて未見。
しかしこの「キジ殺し」は、あの成功者ぶったシリアルキラーどもがどうなったんだっけという興味だけで見てみたら、やっぱりやっぱりやっぱりどす黒い気持ちになるだけで、オールスンほんとによくこんな話を書けるなとあらめて脱帽した。映像化した人たちも鬱にならなかったんだろうか。
ことの発端は、とある双子の少年少女が殺された昔の事件の再捜査依頼なのだけど、この殺人事件からして残虐で痛々しい。犯人が判明した上で進むストーリーが、もう胸糞のてんこもりで、「金持ちの屑な子供が守られていることをかさにきて異常さを振りまく」という比較的よくある設定をご丁寧におぞましく描き出されて倒れそうです。小説でも映画でも、違う角度から腹を殴られ続けるようなしんどさがある。しかしこんな悲惨な殺人鬼を演じる(若いほうの)俳優たちも、心に傷を負うんじゃないかと思ってしまったよ。
もっとも日本でリアルに起こった1988年の女子高校生コンクリート詰め殺人事件のほうがはるかに胸糞悪いね。ああいった事件に対する怒りを思えばオールスンの作品ももう一度読めるかもしれない。あの事件の犯人も、小説のように分かりやすく罰を受けてくれればいいのに。