T太郎

パラドクスのT太郎のレビュー・感想・評価

パラドクス(2014年製作の映画)
3.8
571
メキシコ映画だ。
先日観た「ダークレイン」と同様、白黒調でうっすら色つきだ。
この手法は、メキシコ映画の特徴なのだろうか?

当初、そんな事をチラリと考えながら鑑賞していた私だが、次第に物語の世界にどっぷり漬け込まれていった。
そして、気がつけばなんと!べったら漬け状態になっていたのだ!

お漬物に詳しくないので、この例えが適切かどうかは分からないが、ぬか漬けでない事は確かだ。
それぐらい、物語に引き込まれ、漬け込まれたという事なのだ。
(全く分からん。なぜ漬け込まれる必要が?)

しかし、ふいに場面が変わり、ある家族がバカンスへと向かう章に入った途端、カラーになる。

なるほど、オムニバス形式なのか。
と、思っていたら最初の白黒の章と同じような展開に!
一体どうなっている!
より一層物語に漬け込まれていったのであった。

この後、白黒とカラーの物語が交互に語られていくのだが、徐々にその関連性が明らかになり、最後は何とも言えない虚無的な結末を迎える。

ここで鋭敏な私は、気づいたのだ。

この映画はややこしいと。
(気づくの遅いな)

クリストファー・ノーランを彷彿とさせる作品だ。
じっくり集中して観るべき部類の映画と言えるだろう。

冒頭のエスカレーターに横たわる老婆のインパクト!
誤解を恐れずに申し上げるとすれば、老醜の恐怖を描いた作品だとも言える。
それぐらい、老人の描き方がえげつないのだ。

面白かった。
誰もが漬け込まれる作品だろう。
T太郎

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