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パラドクスのadeamのレビュー・感想・評価

パラドクス(2014年製作の映画)
3.0
同じ空間をループし続けて時間だけが過ぎていく世界に迷い込んだ人々を描くメキシコ製SFスリラー。
前半で描かれる循環構造を持った空間に閉じ込められるという発想自体はワンシチュエーション系の低予算作品にありがちですが、今作はあくまでそれを後半の展開への前フリとして使っているのが新鮮でした。
設定ありきでオチをこじ付けたのではなく、結末ありきで前半の状況を考え出したように感じられるところに好感が持てました。
ループの裏にある真実とそこから訴えたいメッセージに繋げたいが為に、強引な展開に陥っている場面も少なからずあるのですが、シチュエーションへのアイディアだけで物語を着地させることを放棄している作品よりもずっと納得感があったと思います。
ただ、画的なインパクトを優先させたのかもしれませんが、老いに対する偏見に近いスタンスはもったいなく、もう少しフラットに老いることの哀しみや切なさを見せてくれた方が心に響いた気がしました。
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