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白い風船のsonozyのレビュー・感想・評価

白い風船(1995年製作の映画)
4.0
巨匠アッバス・キアロスタミ監督が脚本を務め、彼のもとで助監督をしていたジャファール・パナヒ監督の初監督作品。

イランの新年・ノウルーズ(3月の春分の日)を迎える前日の大晦日。
新年の飾り物の1つである金魚を巡る7歳の少女ラジェの物語。

市場で買い物中、はぐれたラジェを見つけ急ぎ家に戻る母。
ラジェは市場で見た白い大きな金魚が欲しくて仕方がない。
家のいけすにいるでしょ!と聞く耳もたない母に、ヒレが大きくふっくらしててウチのとは全く違うの!と涙目でアピール。

そこに、入浴中の父に石けんを買うよう頼まれたお兄ちゃんのアリが帰ってきて、涙を浮かべて訴えてるラジェを見るが、石けんじゃなくてシャンプーだ!と叫ぶ父の指示で再び買い物へ。

アリが戻ってくると、ラジオからは新年まであと1時間15分と流れている。
まだ涙目でグズってるラジェを見て、しぶとく母と交渉し、母から500トマン札をゲット。やっと笑顔になったラジェは1人で一匹の金魚(100トマン)を買いに鉢を持って走り出す。
欲しい金魚は無事手に入れられるのか?・・・

家を出てすぐ、路上の蛇使いに群がる男たちの中に好奇心からか入ってしまったり、「はじめてのおつかい」を見てるような、ハラハラ感の連続。

ラジェも、妹思いのお兄ちゃんアリも素晴らしい。
兄妹の父、関わる大人(オッサン)たち…男性優位社会イランで暮らす子供たちの姿から色々と考えさせられます。

そして、「白い金魚」ではなく、風船を売る難民の少年の持つ「白い風船」をタイトルにした意味を考えてみたくなる読後感。

カンヌ国際映画祭: 新人監督賞
東京国際映画祭: 東京ゴールド賞
ニューヨーク映画批評家協会賞: 外国映画賞 ほか

Criterion Channel
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