新しく語られた日本昔話。
先日、良質な日本昔話だったゲーム『天穂のサクナヒメ』をクリアしたので、同じように日本昔話的な今作はとても良かった。これが海外の監督なのだから、細かなところでは日本文化とは違うものの(汁物での作法とかは、月の民だから違うのだろう、で済むかなとか)、概ね日本的だし、観ていて幼少期にわくわくした物語の原型に類するなぁ、と感じた。
何より物語のテーマが『赦すこと』なので、主人公の母親も父親に、爺さんも皆に、というのがあり、主人公自身もそうした流れがないと生まれなかったというところ。そしてそれを大っぴらにセリフで語ったり、これがテーマですダーン!みたいなダサさもない。そうしたテーマはあくまで冒険物語の背景としてあるから、観ていて説教臭くないし昔話としての教訓的な雰囲気も持ち得ている。それが観ていて心地よかった。
そして物語としても良質な上に、時代を超えても古びない昔ながらのストップモーション・アニメーション(人形などでのコマ撮り手法)によるものだから、これから時代を経ても画面が古く見えることはない。この辺りはCGをできるだけ排するノーラン作品と同じだろう。
最新技術はすぐに型遅れになる。それに対する製作陣の考え方が、今後も残っていく作品かそうでないかを分けるだろう。ストップモーション・アニメーションもその一つなんだな、と。この製作陣の他の作品もチェックしていこうと思います。