ちろる

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のちろるのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.9
バルト9にて公開記念トークショー付き吹き替え版を鑑賞。
驚くほどの滑らかな動き、表現の豊かさ、壮大な背景美術に始まりから呆気にとられてしまい、途中からストップモーションアニメだという事を忘れそうになる程。
浮世絵のような荒波のオープニングシーンから始まるクボと母親のささやかな日常を描くシーンは、海外のクリエーターが作った世界観だとは思えないほど、日本の風土を忠実に描いており、灯篭流しの美しい川べりの映像と、闇の姉妹の登場シーンの妖艶な演出も引き込まれるように圧巻だった。
それにしても、たった2秒のシーンに1ヶ月を要し、クボたちが旅をする枯葉の大船を19ヶ月かけて作るという、もう聞いただけでこっちの方が、疲弊してしまいそうな気の遠くなるような職人技術でこれほどのクオリティの作品を作り上げた熱量にはもうただただ感服するしかなくて、そのエネルギーをスクリーンを通して受け取れただけでもう感無量だ。
こんな魂込められた作品にとやかく言うのはほんとおこがましいのだけど、敢えて内容について言及させてもらえるなら、前半の村のシーンまでがストーリー展開も演出も素晴らしかったので、クボたちが村を離れて旅に出る辺りから若干トーンダウンしてしまったのと、後半になると色々詰め込みすぎて若干駆け足気味になってしまったストーリー展開が少し残念。

とはいえ語られるそれぞれの物語と何にでも生まれ変われる折り紙や灯篭流しの美しい魔法などなど、出てくるアイテムとエピソードに全て意味を持たせてラストをハートフルに仕上げてるので、大人にとっても胸が突かれるステキなおとぎ話として仕上がっていたと思う。
日本が舞台のお話なのと、アニメーションをじっくり観たかったので吹き替えにしたのですが、良かった。
ただ、名優揃いの字幕オリジナルもまた機会あったらチャレンジしようかな。
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