カルダモン

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のカルダモンのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
4.3
スタジオライカ作品を初鑑賞。
ストップモーションとは思えないほどの滑らかさ、微細な表現に呆れる。
散らばった折り紙を拾いそこなう動きや、数フレームだけ視線を外して感情を迷わせるような、まさに瞬きする間に何かが起きている瞬間の積み重ね。ひとつひとつのコマの果てに作品が成り立っているのかと思うと気が遠くなるが、なにより『KUBO』が素晴らしいなと思うのは物語と人形の相性の的確さだった。

鑑賞中にずっと頭にイメージしていたのは人形浄瑠璃で、語り手と人形と三味線の音が三位一体となっている構造が、3DCGでもなく2Dアニメでもない理由だと個人的には思えた。冒頭にクボは折り紙芝居を披露するが、あれは「スタジオライカがこれから物語を語りますよ」というメッセージだと勝手に受け取っている。

この作品において人の存在は誰かに語られることで初めて存在し、記憶の中で生きる。物語はひとりでは成立しない、つまり誰かと関係することが物語であると教えられる。

二本の弦から生まれた三本目の弦と、文字通り三位一体となる幕の落ち方。エンドロールでは本作の語り部であるスタジオライカにカメラのフォーカスが向けられて物語を終える。

そしてなんといっても声優陣。サル(シャーリーズ・セロン)、クワガタ(マシュー・マコノヒー)、月の帝(レイフ・ファインズ)、闇の姉妹(ルーニー・マーラ)という豪華さだが、やはり声だけの出演でも魅力は滲み出す。

唯一難点を挙げるなら、やはりCGとの境目がわからないことで、せっかく波の動きなどをアナログで作り上げても最終的なテクスチャーをCGに任せてしまっているので、もったいないと感じてしまった。

メイキングを見ればどんなことをやっていたかよくわかるので貼っておきます。
https://youtu.be/zHyTYL1Z1aM