シネマスナイパーF

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
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誰が観ても、「物語」のための物語である
メイドインUSAの超高品質日本昔ばなし


かぐや姫の物語に、 ストレートなヒーローストーリーを足した話で、人知を超えた存在の力を宿したヒーローが地上で足掻くという正直捻りは感じないシナリオではある
そういう「むかしむかしあるところに」という物語を語っていくことに関する物語として描かれている

語り継がれる物語には語り継がれる理由があるし、忘れ去られないために語り続ける必要がある
というものなので、なんで?って思うようなところが多くても突っ込むこと自体が野暮
この映画そのものが、クボという少年の作った創作だと思えばガッテンかな?

かつて生きていた人の記憶を決して忘れないために、物語は語り継がれる
それを強烈に反転させた結末は正直かなりハードだと思うけど、事実を捻じ曲げて新しい物語を語るということは人格否定でありながら同時に救いでもあるかもしれないと希望的観測をするしかないし、そこで流れ出すジョージハリスンの名曲のアレンジが素晴らしい味を出している


ぶっちゃけ、冒頭から母親が赤ちゃんにキスをするので、ああ多少欧米感は入ってしまうなって覚悟できる
逆予防線が張られるので、そうやって観ると日本の描き方も素敵
月並みな言葉ですがアニメーションとして質が高すぎ
傑作