Yukenz

ホームレス ニューヨークと寝た男のYukenzのレビュー・感想・評価

3.5
自分のやりたい事のためには、住処(すみか)をどうするなんて二の次という割り切り方はある意味凄い。

このドキュメンタリー映画の主人公マークは、外でやりたい事をクタクタになるまでやって、住処はただ寝るだけが理想と言うけど、厳しい競争社会のこの時代に、しかも超ハイセンスを求められるニューヨークという街でカメラマンなり俳優なりで名を上げるという夢を持ち続けるのはなんとエネルギーのいる事だろうか。

例えば、ちょっと仕事が上手くいかず気分が乗らない状況で、「今日は早めに仕事を切りあげ家に帰って気分転換して精気を養おう」とはならないのだ。もし自分だったらそれはかなり厳しい。

ジムのロッカーに必要最低限の荷物を詰め込み、小綺麗に身支度をし、外でたくさんの人に会いパーティーにも参加して、これはというターゲットを見つけたらモデル事務所に売り込みにも行く。撮った写真のデータ処理等のパソコン作業はカフェなどでこなしてメディアに写真売り込みもする。映画のエキストラの登録をし、声が掛かれば早朝から撮影場所に向かう。

いつかきっと目を向けられ、名を挙げる事を信じて日々活動する52歳のダンディの生き方は一見クール。でも52歳でこんな事をするのは内に熱いものを持ってないと出来やしない。
こんな生き方を含めて様々な人を惹きつけて離さないのがニューヨークという街なんだろう。
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