世界を創造した神様はブリュッセルのアパートで暮らしながら、嫁と子供にDVを働き、自ら作り出した人間をもてあそんでは悦に浸っているというとんでもないクズ野郎。という奇抜でブラックな設定がまず目をひきまくる。。
過酷な現実と甘美な夢。それを超絶技巧の映像美と抜群の音楽センスによって目と耳を蹂躙しまくるドルマル映画。オモチャ箱をひっくり返したような楽しさと陽気さがある反面、耐えがたいほどの孤独と非情な現実を描いているのもこの監督のミソ。
ただ、シニカルなブラックコメディとして描いているので、受けつけない人は受けつけ無いだろう。
シュールで、のほほんと目くらまししておきながら、その実態は かなりの超絶ブラック。
とりわけ6人目の使徒である余命54日の少年、ウィリーのあまりに過酷すぎる現実のなんと悲惨なこと!
本作の原題はフランス語で【Le Tout Nouveau Testament】意味は劇中にもあるが『新・新約聖書』つまり新約聖書を書き換えるということ。
かなり宗教的に危ない橋を渡っている。
ブラックコメディの類はあまり好きではないのだが、本作品にはなぜか好感を持てた。
ベルギー出身の女性歌手アン・ピエールレによるどこかで聴いたことのある主題歌『Jours Peinards』もまた良し。