まぐ

クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃のまぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

自分の周りではさほどいい評価を聞かなかったので観るのが遅れましたが、面白かったです!
劇団ひとり好きなのでほんの少し贔屓目もあるかもですが。



◯ストーリー
ストーリーはいたってシンプルで、わかりやすかったです。自分自身が生み出す自責の念に苦しみ続ける少女を友情、家族愛が救う話。ロボとーちゃんにまけじと、今回はみさえが大活躍を見せていて、また違った感動がありました。泥臭い父の愛と包み込むような母の愛のイメージの違いが出ていて面白いです。


◯キャラクター
サキちゃんが可愛い。これにつきます。

自分がバカなことをしたせいで母が死んだと自責し、バカなことに対して過剰に拒否反応を示すようになる。
父に遠慮し、従って生きてきたことで孤独になり、しかし寂しいとすら言えないでいる。
こんな不憫な境遇、幼稚園児には重すぎる…
しんちゃんがサキちゃんを見捨てないと言った時、サキちゃんの胸中を思って泣きそうになりました。そしてみさえで泣きました。

サキちゃんとお父さんの食卓のシーンの目玉焼きは野原一家との対比が効いていて胸が痛くなりました。あの演出は良かった…!


◯ギャグ
劇団ひとりが脚本を担当した甲斐があったのか、自分はいつもよりギャグで笑えました。ただ、彼の性質上いつもよりエグめのギャグ(うんこが手に付く、下の毛を剃るなど)も多く、ここは評価が分かれそうなところ。特に子連れの親御さんなんかは猛烈に拒否反応を示しそう笑
ひろしとみさえが幼児化するくだり、大人帝国でも似たような画を見た気がしますが、今作では本人たちが必要にかられて必死でやっているところにコントっぽさを感じて、そこからも芸人の匂いを感じられました。

それと、昔の深夜番組のくだりは完全に劇団ひとりの好みっぽかった笑



◯バトル
今作の一番の見所はやはり夢の中という色々な制約の無い舞台での画作りではないでしょうか。クレしん映画はいつも絵的な面白い挑戦を見せてくれますが、今回はバトルシーンでその真価が発揮されていたように感じます。ひまわりがでかい、シロの足が長い、ボーちゃんが石など、夢の中だからとめちゃくちゃやってます。笑いとの絡ませ方も上手く、interestingとfunny、両方を味わえるバトルシーンでした。


◯欲を言えば…
バクを探すくだりは、夢の中だからとフワッとさせすぎていて、視聴者がのめり込むには動機付けが弱く感じました。お母さんも、なにもサキの夢の中にバクがいるとは言ってないし、子供ならまだしもひろしとみさえまでその案に乗っかるのは不自然でした。

夢の中の背景が常に似たような灰色の殺風景で、動きを感じづらかったです。作画は良かったですが、もっと舞台を活かした冒険活劇、逃亡劇が見られたらなと思いました。予算のこと考えずに贅沢を言っています笑

サキのお父さんと妻の絡みをもっと見たかったです。例えば妻から「あの子をよろしく」と遺言をもらう、などのエピソードを一つ入れるだけで過剰なまでの過保護の設得力が増すのではないかな、と。



芸人さんが面白い脚本を書く、このハードルを越えるのはかなり難しいことだと思っているのですが、絵も味方につけ、劇団ひとりの個性も垣間見え、見ごたえのある作品でした。
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